むし歯の治療と予防

CARIES TREATMENT

歯が「しみる・痛む」
そんな症状があればすぐに受診を

むし歯は、ごく初期の段階では痛みなどの自覚症状はありません。「歯がしみる」「歯が痛い」といった症状が現れたときには、かなり進行してしまっている可能性があります。
むし歯は症状が進行すればするほど、治療に時間と費用がかかってしまうだけでなく、治療で削ることで歯の寿命を縮めることになります。また、むし歯を放置するとそこに食べかすが詰まったり、歯根(歯の根っこ)が化膿したりすることで口臭の原因にもなることもあります。
お口の健康のためにも、むし歯に気づいたらできるだけ早く受診するようにしましょう。また、定期的に歯科医院で検診を受けていただくことで、むし歯の早期発見・予防が可能となり、ご自身の歯でいつまでも食事や会話を楽しむことができます。

むし歯の原因

むし歯の直接的な原因は、歯垢の中のむし歯を引き起こす細菌です。歯垢とは、歯の表面に付着している白色や黄白色の粘着性の物体のことで、歯垢1mgの中には1億個以上の細菌が存在しているといわれています。
むし歯を予防するためには、毎日しっかりと歯磨きによって歯垢を除去し、お口の中の細菌の数を減らすことが大切です。しかし、むし歯は歯垢だけが原因なのではなく、以下のような複数の要因が影響し合うことで発生します。

歯質

年齢、遺伝、歯の形や歯並びなどによって、むし歯になりやすくなる

環境

ライフスタイル、服用している薬、歯の清掃方法などによってむし歯になりやすくなる

むし歯の原因菌の数

細菌が多ければ多いほど歯垢ができやすい

糖分

口の中に糖分があればあるほど、むし歯の原因菌は増殖する

時間

糖分が歯に付着している時間が長いほどむし歯になりやすくなる

むし歯の進行

むし歯の進行度は、C1~C4の4段階に分けられ、数字が大きくなるほどむし歯が進行していることを表します。
なお、治療を必要としない段階のむし歯は「Caries Obserbation(むし歯の経過観察)」の略で、CO(シーオー)といいます。

CO

むし歯のごく初期段階で、むし歯の原因菌が産出する酸によって歯の表面のエナメル質が溶けはじめた状態です。エナメル質に完全に穴は開いておらす、酸によって溶けた部分が白く濁ったように見えます。この段階では、歯磨き指導や歯のクリーニングを受け、徹底的に歯垢を除去することで歯の再石灰化を促し、経過観察をします。この段階でむし歯の進行を防ぐことができれば、歯を削る治療を行う必要はありません。

C1

初期のむし歯で、歯の表面のエナメル質に穴が開いた状態です。この段階ではまだ痛みはほとんどありません。むし歯は上の歯と下の歯のかみ合せの部分や、歯と歯の間などに発生しやすいため、この部分は特に注意する必要があります。一度エナメル質に開いた穴は再石灰化で修復することはできないため、むし歯に侵蝕された部分を削って歯科用のレジン(プラスチック)を詰めます。通院回数は1回程度です。

C2

歯の内部まで進行したむし歯です。エナメル質の内側には象牙質がありますが、むし歯が象牙質まで進むとむし歯の部分が黒く見え、冷たいものや甘いものを食べた時に歯がしみたり痛むことがあります。象牙質はエナメル質よりも酸に弱いため、むし歯の進行が早くなります。この段階の治療では、麻酔をしてむし歯部分を削って型を採り、詰め物(インレー)や被せ物(クラウン)で修復します。
見た目が気になる場合は、セラミック製の白く美しい詰め物や被せ物を選択することができます。通院回数は、 1~2回程度です。

C3

歯の神経まで進行したむし歯です。象牙質の内側には、神経や血管が束になった歯髄という組織があります。歯髄は歯の神経といわれており、歯髄までむし歯が進行すると、炎症を起こして歯は酷く痛みます。この段階になると、むし歯部分を削って炎症を起こしている歯髄を取り除く必要があります。(根管治療)
その後、歯髄が通っていた根管を洗浄・消毒し、無菌状態にして薬を詰めて被せ物をします。通院回数は最低で4回はかかります。この段階では治療が完了するまで時間がかかるうえに、歯髄を取り除いた歯はもろくなってしまいます。そのため、この段階になる前に治療を始めることが大切です。

C4

むし歯が進行し、歯冠の大部分が失われて歯根だけが残った状態で、むし歯の末期段階です。歯髄が壊死しているため、痛みは感じませんが、歯髄が壊死したまま放置すると、細菌が歯髄を通って歯根の先端に病巣を作り、膿が溜まって激しく痛むようになることがあります。
この段階になると、根管治療をしても長期的に歯を機能させることはかなり難しくなり、場合によっては抜歯せざるを得なくなります。通院回数は最低でも4回かかり、治療期間は1~2ヵ月ほど、長い場合は3ヵ月以上かかることもあります。歯を失ってしまうことにならないよう、むし歯に気づいたらできるだけ早く治療を開始しましょう。

当院のむし歯治療

治療の痛みは極力少なく

これまでに歯医者の治療で痛い思いをされたなど、治療中の痛みが苦手という方もいらっしゃると思います。当院では、丁寧で繊細な治療を心がけ、できるだけ痛みを感じないように治療を進めます。神経に近いところを治療する場合には、局所麻酔を行うことで痛みを抑えますが、麻酔注射が苦手という方でも安心して治療が受けられるように、塗る麻酔で歯ぐきを痺れさせて針の痛みを和らげることや、麻酔液を人肌程度に温めておく、ゆっくりと麻酔を打つなど、感じる痛みを最小限にする配慮も怠りません。

削るのは必要最小限

治療で削ってしまった歯は元に戻すことができないことや、治療中の痛みを減らすために、当院ではむし歯になっている部位だけを正確に見極めて、必要最小限の治療を心がけています。
ダイアグノデントという、レーザー光でむし歯を数値化する機器を用いて、むし歯を客観的に見極めて、拡大鏡という眼鏡のようにかけて常に視野を拡大できるルーペ(虫眼鏡)を使用して、むし歯だけを的確に除去します。

歯の神経の治療
-根管治療-

根管治療(歯の神経の治療)とは

歯の中には、神経や血管が束になった歯髄という組織が通っています。むし歯が深くまで進行して歯髄に炎症や壊死が起こると、強い痛みや腫れを伴う症状が現れます。そのような場合に行う治療が根管治療で、歯の根の中にある根管から歯髄を取り除き、根管内部を洗浄・消毒し、充填材を詰めることで歯を保存する治療です。
根管治療を行うことで歯を抜かずに残すことができますが、歯という小さな器官の中の細く曲がりくねった根管内の治療はとても難しく、より精密で丁寧な治療が求められます。

治療中の感染を防ぐ

根管治療が再治療になってしまう原因の一つに、唾液に含まれる細菌による治療中の感染があります。
当院ではラバーダム防湿を行い、治療中の唾液による感染を抑えています。ラバーダム防湿とは、ラバーダムという医療用のゴムシートで治療する歯以外を覆ってしまうことで唾液を遮断する治療法です。これにより、治療中に細菌が歯内に入り込むリスクを大幅に低減し、より衛生的な治療が可能になります。

効率良く治療を進める

根管治療では、治療中の感染リスクを減らし、患者さまへの負担を最小限にするために、より効率よく迅速な治療が求められます。
当院では、歯髄を除去するファイルという器具を、一般的なステンレス製のものではなく、より柔軟で弾性が高く、複雑形状の根管でも効率よく歯髄が除去できるニッケルチタン製のものを使用し、そのファイルを回転駆動させるモーターを使用することで、より精度が高く効率の良い根管治療を行います。

むし歯の予防

日々の適切な歯磨きに加え、予防ケア定期的に受けていただくことで、むし歯や歯周病などから歯を守ることができます。もしかかったとしても早期発見が可能なので、病気や治療による歯への負担と治療費を抑えられます。
当院では、「CAMBRA(キャンブラ)」によるお口の検査と評価、PMTCなどのプロフェッショナルケア、ご自宅で行っていただくホームケアを組み合わせて、患者さま一人ひとりに合った予防ケアをご提案しています。
ご自身の歯を長く健康に保つためにも「予防ケアのために歯科医院に行く」という習慣を始めてみませんか?

CAMBRA(キャンブラ)とは

CAMBRAは、予防ケアの発達した米国で生まれた予防システムで「Caries Management by Risk Assesment(リスク評価に基づくむし歯管理)」の略です。お口の中がむし歯になりやすい状態なのかを評価することで、むし歯を防ぐ方法を診断します。
人間のお口の中では「むし歯を引き起こそうとする力」と「むし歯から歯を守ろうとする力」が日々せめぎ合っています。CAMBRAによって、この2つの力を数値化してバランス(むし歯のなりやすさ)を評価することで、患者さまに合わせた予防プログラムをご提案することができます。

CAMBRAはこんな方におすすめ

CAMBRAによる予防ケアは、以下のような方に特に適しています。

CAMBRA治療の流れ

アンケート記入と問診

現在の生活習慣やお使いの歯磨き粉・洗口液などのお口のケア用品などについて確認させていただくために、アンケートにご記入いただきます。 また、問診でこれまでの治療歴や食事、歯磨きの状況を詳しくお伺いします。

口腔内検査

歯科医師や歯科衛生士が以下のような検査します。

  • レントゲン撮影
  • お口の中の細菌の数・活動性・種類の検査
  • 唾液量の測定・検査
  • むし歯の原因菌と関係が深いATP(アデノシン三リン酸)の検査

など

検査結果のご説明

検査結果から総合的なむし歯リスク(虫歯のなりやすさ)を4段階に分けて判定します。

  1. ローリスク…虫歯になるリスクは低い
  2. ミドルリスク… 虫歯になるリスクは高くはないが、注意が必要
  3. ハイリスク…虫歯になるリスクが高い
  4. エクストリームリスク…虫歯になるリスクが極めて高い

予防ケアのご提案

判定したリスク評価に応じた予防ケアをご提案します。
まずは、スタート時点のお口の状態やむし歯のなりやすさなどをわかりやすくご説明した後、むし歯にならないようにするために歯科医院で行うケアや、ご家庭で行っていただくケアについて使用するオーラルグッズも含めてご提案します。

治療

スタート点でむし歯がある場合には、再治療が必要とならないよう精密に治療を行います。
また、状態の良くない詰め物や被せ物などがある場合は、再治療をおすすめすることもあります。治療が終わった後は、定期的に歯のクリーニングや検診などのメンテナンスを受けていただきます。

メンテナンス

歯科医院にて歯のクリーニングや検診、毎日の歯磨きやお口のケアのアドバイスを受けるために、定期的にメンテナンスにお越しいただきます。 患者さま一人ひとりのむし歯リスクや効果的な予防ケアをしっかりと把握していますので、より的確なケアとアドバイスをご提供することができます。
継続的にメンテナンスを受けていただき、お口の健康を維持していきましょう。

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