PEDIATRIC DENTISTRY
乳歯がむし歯になり、お口のなかにむし歯の原因菌が多い状態では、後から生えてくる永久歯もむし歯になってしまう可能性が非常に高くなります。また、適切な生え変わりにならないために、歯並びにも悪影響を与えてしまいます。
乳歯は永久歯よりも軟らかく、むし歯にかかると急速に進行してしまうため、お子さまの歯にむし歯を発見したら、できるだけ早く受診されることをおすすめします。早い段階で治療を始めることができれば、麻酔を必要とする可能性も低くなり、治療による痛みやストレスを最小限に抑えることができます。
大切なお子さまの将来のお口の健康のためにも、むし歯のほかお子さまの歯やお口で気になることがあれば、どうぞお早めにご相談ください。
生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯の原因菌は存在していません。ではなぜお子さまの歯がむし歯になってしまうのでしょうか。お子さまのむし歯は、以下の5つの原因が重なりあうことで起こります。
愛情表現のキス、スプーンの使い周しなどでむし歯の原因菌に感染する
乳歯は酸に弱く、奥歯は歯垢が溜まりやすい
糖分を含むおやつや飲み物の摂取量が多いとむし歯になりやすい
ダラダラ食べや間食の回数が多い食習慣は糖分がお口に留まる時間が長くなる
むし歯の原因となる歯垢をしっかりと取り除けていない
食事をするための「噛んだり」「飲み込んだり」といった機能は、生まれついて備わっているものではありません。近年、哺乳瓶で育った子どもの噛む力が弱い、唾液が少ないといったことが問題になっています。お口の機能が適切に発育できないことによって、口呼吸になったり、あごの骨が成長できなかったりといった不具合が生じ、これが運動機能の低下を引き起こすことにつながり、ゆくゆくは怪我をしやすくなるなどの危険を招くことにもなります。
当院では、お子さま向けの嚥下トレーニング(エントレ)に力を入れています。お口の機能を適切に育むことで、正しい口呼吸を身につけることができ、あごの骨の発育を促すことが、将来の歯並びやかみ合わせにも良い影響を与えます。歯並びやかみ合わせが良くなることは、運動機能の向上やむし歯や歯周病などのお口の中の病気の予防にもつながります。
当院では、むし歯予防として主に以下のような処置や治療を行っています。
適切な歯磨きによって、むし歯の原因となる歯垢を毎日きちんと取り除くことは、むし歯予防の基本です。
歯磨き指導では、現在の歯の磨き方で歯垢が取り除けていない部分をチェックさせていただいたうえで、しっかりと歯垢を取り除くための磨き方をレクチャーいたします。小さなお子さまの場合は、お子さまご自身による歯磨き方法はもちろんのこと、保護者の方には適切な仕上げ磨きの方法をお伝えします。
フッ素は、お茶や味噌汁、清涼飲料水など普段口にしている食物の中にも含まれる成分で、歯へのミネラルの沈着や再石灰化を促す効果、むし歯の原因菌の活動を抑える効果があります。
高濃度のフッ素(フッ化物)をむし歯になりやすい生えたての乳歯や生え替わったばかりの永久歯に塗布することで、むし歯になりにくくする効果が期待できます。
シーラントとは、主に乳歯の奥歯のかみ合う面の溝を歯科用樹脂で埋めて、むし歯の原因菌が繁殖しないようにする処置のことです。
乳歯の奥歯の溝は深さがあり、さらに形状も複雑であるため、歯ブラシで汚れを除去しにくいのですが、シーラントを行うことで歯磨きがしやすくなり、歯垢がたまりにくい口内環境にすることができます。
食生活・食習慣を見直すことで、むし歯になりにくい口内環境をつくることができます。
食生活指導では、ご家庭での生活環境を伺いながら、適切な間食の回数や糖分の摂取量、就寝前の飲料の取り方など、むし歯になりにくい食生活をアドバイスいたします。
咬合誘導は、歯並びやかみ合わせが適切な状態での発育を促す治療のことです。
咬合誘導では、トレーニングによってお口周りの筋肉を鍛えてバランスを整えることで、指しゃぶりや口呼吸、低位舌、舌突出癖といった歯並びや噛み合わせが悪くなる原因になる癖を改善することができます。また、咬合誘導装置を主に夜間装着していただくことで適切なかみ合わせになるように誘導します。
歯並びとかみ合わせが良くなることで、歯ブラシによる清掃がしやすくなるなど、むし歯をはじめとしたお口の様々な病気を防ぐことにも繋がります。